エーリッヒ・フロム「愛するということ」
読みました。
「愛は技術である」
"the art of loving"というのが原著のタイトルですが、
そういうことを主張しています。
帯に女優の杏が推薦文を載せているのですが、
杏が読んでいるイメージがあるだけで大分取っ付き易くなる気がしますね。
愛は技術と言い切り、愛されることばかり望んだり愛したくても相手がいなくて・・・というのをバッサリ斬っているのが新鮮でした。60年前の本なのに笑
また、新鮮なだけでなく骨太でもあります。
「はじめに」のところで、安易な答えを求める人を以下のようにいきなり追い払いにかかります。
「この本は読者にこう訴えるーー自分の人格全体を発達させ、それが生産的な方向に向くよう、全力をあげて努力しないかぎり、人を愛そうとしてもかならず失敗する。」
かならず失敗するですよ、かならず笑
全部読んだ後でもう一度振り返ってみて、まあ確かにそのくらい難しいことだなとは思いましたけど。えぐい。
中身は、理論を語る理論篇だけでなくじゃあどうすればいいかを語る習練篇まで用意してある徹底ぶりですが、
読んだからすぐにどうこうなるシロモノではないです。
レベルの高いものは得てして抽象的にならざるをえないということですね。
ただ、考えていくためのヒントは散りばめられていて、そこだけでもとても価値があると思います。
たとえば、愛は一時的な激しい感情ではなく、本質的には意思に基づいた行為であるべきだ、とかね。
愛の定義・条件をいろいろと語っているわけです。
愛の前提条件としては規律・集中・忍耐・関心があるとか、
他にも、客観的に考える能力=理性、自分自身や自分の愛を信じること、そして信じるための勇気、などが必要だと。
前提条件を満たすのがとても大変!
愛するということが、この現代社会でいかに難しいことか。
そんなことできるのは殉教者か狂人くらいだと本の中でも言われていますしね。
フロムの本は哲学書の類の中ではかなり読みやすい方ではありますが、
それでもその手の議論に慣れていない人には読むの大変な部分が結構あると思うんですよね。
自分で考えることが多くて、ぼくも正直まだ消化仕切れていないしまた何度も読み直すだろうなって、そんな本です。
とはいえ、本格的な哲学書を読むのはしんどいけどちゃんとした読書をしたい、それでも自分の興味ある内容で。
そんな人には、エーリッヒ・フロム「愛するということ」。オススメです。